朝、近くの店で工房の上で牛を飼っている友人と出会いました。いきなり、彼が良い粘土が出たと教えてくれました。どこにと尋ねると、工房のすぐ上の方の畑の脇からだとのことでした。早速行ってみると、そこは牛の飼料用のタネを蒔いたばかりの広い畑の脇でした。
すぐ後ろには水を流すための水路ができていて、その場所が山からの湧き水が出てくるところのようです。早速、土を掘ってみました。それは白っぽい鼠色のかなり粘りのある粘土でした。
我が工房のすぐ脇を流れる川を上流に辿った同じスジでした。昔、すぐ上の家に住んでいたおじいさんから、家のすぐ前の川沿いから、鼠色の粘土が採れて、昔は髪を洗うのに使ったという話を思い出しました。早速見せてもらいに行ったのですが、その時には言ってた粘土は見つけることができませんでした。まさにあの話の粘土の層がその上の畑の脇にあったのです。昔は、畑から縄文土器のかけらがよく見つかったと聞きます。それが、重機で開墾するようになってからは、おそらく土の中に埋まってしまったのだと思います。今日、見つけたような粘土の層も、昔はきっと、どこにでもあったように思います。だから、土器もいろいろなところから見つかったのだと思います。時代が変わって、森林伐採と蜜柑畑を作るための開墾で水の流れや、土地の構造が変って、粘土層が少なくなってしまったのだろうと想像されます。それにしてもこんなに近くから粘土が出てくるとは。混ざって出てくる石は頁岩が多いようです。もう少し標高が上がると花崗岩が多いのですが、これまで採取してきたのは、ほとんど、国有林と民有地との間近辺から出てくる、花崗岩の風化粘土でした。しかし、今日見つけたのは、頁岩の層でしたから、耐火度が下がるだろうと思います。1300度近い温度では溶けてしまうかもしれません。逆に花崗岩質の粘土ではその温度でもなかなか焼きしまってくれません。まあ、実際に窯で焼いてみないことには、わかりませんが、今の粘土に混ぜて焼くことができれば、まさに足元の粘土で焼いた、ヴァナキュラーな焼き物と言えるものになりそうです。なんだか、急にワクワクしてきました。まさに。地産地焼の焼き物が生まれるのですから。土をもらった地主の人にもその話をしたところ、目をキラキラしていました。きっと今の辛いコロナ騒動の中で耐えているのだと思います。そんな地元の希望になればと思います。これから色々、研究してみようと思っています。