雨の一日。気分もウェット。今日は、娘の誕生日。30数年前でした。その日、鹿児島で次男の入院に付き添っていました。朝、カミさんから生まれそうという連絡が入りました。大慌てで、飛行場へ走って、島に帰りました。その日はちょうど、中学生の駅伝大会。道路が渋滞して、裏道を夢中で走ってなんとか間に合いました。初めての自宅出産、上の二人は東京の病院で生まれましたから。島のお産婆さんが、取り上げてくれました。しかし、急だったので、産着が間に合わず新聞紙に包まれていました。体重を測ったのも、天秤ばかり。分銅を動かしての計測。まるで江戸時代のようでした。そんな娘も、今は1児の母です。頭の中では、ついこのあいだのように思えるのですが。
工房に今も飾られている写真は幼い頃のものです。コレクションの人形の後ろで変わらない表情で髪を風になびかせています。あの頃、黒かったヒゲも真っ白、髪もすっかり薄くなってしまいました。年月の変化は残酷です。今、この日記を書いている、この部屋が、あの日の、出産部屋です。こんなノスタルジックな気分になるのも、雨のせいでしょうか。