一日中、釉薬掛けをしました。今回はお皿が多くて、お世話になったのがこちらのハサミです。
釉薬をかける時、手の代わりに、これを使うと、持ち替えて二度掛けしないといけないところを一度で済ますことができたり、手で持った跡がつかないなどと、手間が省けて、綺麗に作業ができます。あまりこういう、道具は使ったことがありませんでしたが、以前、島で焼き物作りをしていた人が、辞めることになって譲り受けました。最近使ってみたところ、便利なので、お皿の釉薬掛けに使うようになりました。彼は、一流企業を定年退職した後、屋久島で陶芸を始めました。我々のような貧乏焼き物屋ではとても手が出ないような、高価な道具を揃えていました。なんでもそうだと思いますが、その仕事で生計を立てるとなると、費用対効果がまず先に立ちます。だからなかなか、使いやすそうでも、諦めてしまうものでも、趣味となると糸目をつけずに、手に入れることができます。ただ、残念ながら軽い脳梗塞で、片手が不自由になり、陶芸を諦めたようです。今は、窯も道具も整理して、島を引き払ってしまいました。おかげと言ってはなんですが、思いがけず、色々珍しい道具がこちらに回ってきたわけです。と言っても、こっちも歳が歳ですから、いつまでやれるかわかりません。せいぜい体をいたわって、長く続けられたら良いとは思うのですが。