昨日は16種類の釉薬を作りました。新しい釉薬ではなく、はじめて使う材料を組み合わせて、これまで使っているのと近い釉薬を作るための試験用です。実験用の天秤ばかりで金属材料を計り、最後は篩を通して仕上げます。なかなか手間と時間がかかります。焼き物の原料には限りがあって、その時その時で手に入りにくくなることがあります。まさに今がそんなとき。そこで、手に入りやすい材料でできるだけ自力で釉薬を作ろうと、始めたものです。陶芸を始めた頃にはかなりそんな作業をしていたものですが、より効率的にしたいと思って、市販の材料に移行してきました。いちいち自分で全てを一からやるよりも手間が省けますから。しかしそうも言ってられなくなってきました。まずは価格の高騰があり、業者さんの撤退もあります。焼き物業界もおそらく危機的な状況に陥っているのかもしれません。そこで、より利益の取りやすい、陶芸教室向けに、小ロットでの販売に移行しているようです。一つにはネット販売があるようです。いつでもどこからでも少しでもと言った具合です。しかし、量が必要な専門業者としては、価格がもっとも響いてきます。そこで、少し手間でも原材料から試作する道を選ぶよりなくなってきました。そんなわけでの釉薬作りです。まずちゃんと溶けてくれるか、発色してくれるか、業者並みの難しい知識が必要になります。そして最後が微量要素。ほんのわずかの加減で雰囲気が違ってきます。料理で言えば隠し味的な。案外、最後のさじ加減的なところが焼き物の印象を変えてしまうのかもしれません。