工房の、隠れたヒット商品の一つが箸置きです。これまでにネコ、屋久島の植物、サカナ、シンプルな長方形や楕円形など、ずいぶん色々な形で作ってきました。現在、在庫があるのはサカナの形と青いシリーズです。青いほうは長方形と楕円形、それと長いスプーン置きがあります。スプーン置きは島のホテルで使ってもらっているので、その売店でかなり良く売れます。そんなわけで、定期的に在庫が切れると作ることになります。今もスプーン置き作りのまっ最中です。土を伸ばして切っただけのシンプルなものですが、案外コツがあります。成形の途中で変な力を加えますと、必ず変形して焼きあがってしまいます。粘土が記憶していて、途中で修正しても、最後に出てきてしまいます。これを形状記憶と勝手に呼んでいます。粘土には不思議な力があるようです。そこで、箸置き作りでは切り分けた後、土が固まるまで手を触れないように気をつけて取り扱うようにしています。それとどうしても生地が厚くなりますから、裏を掘って、厚みを調整します。見た目も考えて、全体に化粧をかけて釉薬を載せます。厚くかけすぎると外側に流れやすいのですが、薄すぎては色が出ません。こうして書いてゆくと、なかなかむずかしい仕事だと気がつきました、見た目がシンプルなものほど難しいということだと思います。