「空よりも青い サマルカンブルー〜♪」。吉田拓郎が歌っていました。大昔。母が定期購読していた「暮しの手帖」に青いモスクが載っていました。真っ青な空に光を反射して輝く青い屋根が心を打ちました。まさか、現在、陶器で青い釉薬と戦うようになるとはその頃には想像もつきませんでした。高校生の頃、美術同好会で絵を描き始めて、17世紀のオランダ絵画に出会いました。レンブラントが特に惹かれましたが、そのうちにフェルメールに夢中になってしまいました。タイトルは覚えてませんが女の人がミルクを注いでいる絵でした。まるで永遠に静止しているような室内、光が側面の窓から差し込んで、色が輝くように美しい絵でした。あの頃は。まだ今のように日本では有名ではなかったと思います。フェルメールという画家は、作品も多く残ってなくて、地味な印象の絵が多い気がします。前にフェルメールの自伝的な映画を見たことがあります。絵の具へのこだわりがものすごくて、高価な絵の具を借金してまで購入していました。特に青い絵の具は当時、金と肩を並べるほど高価なラピスラズリを砕いて絵の具に使ったと知りました。当時は時代を超えて残せる表現は絵画でした。だから、変色したり退色したりしにくい材料が求められました。実際、日本画でも同様で、たとえ高価でも良い顔料を世界中から集めて使われたようです。そんな絵画が、時代を超えて現代でも輝きを失わずに生き残っているのです。現在、青い釉薬を追い求めているのも、いつまでも輝き続け、長く人の手に愛でてもらえるものを作りたいという思いもあります。難しい仕事ですが。