やっと、頼まれていた寿司下駄が完成しました。ここまで、結構長い道のりでした。貧乏暮らしですから、寿司下駄というものがどんなものか、まずそれがわかりません。幸いネットで画像検索しますと、いろいろ出てきます。しかしどれも、寿司が乗った画像ばかりで、裏がどうなっているのか、どういう方法で作るのか、そこから考えないといけません。あまり重くてもつかいづらそうですし、かといって、伏せて焼いた時に、変形して真ん中が落ちてきても格好がよくありません。何度かやり直しながら、なんとか成形まではたどり着いたのですが、予定外の早い梅雨入りで作品が乾いてくれません。苦肉の策で、ガス窯のバーナーで乾かすということをやってみました。ところが、煙道を全開にして、ガスバーナーの炎を絞ったところ、何度か火口の奥で着火する異常燃焼でバーナーが熱くなるということが起きてしまいました。なんとか工夫して克服して、素焼きまで終わりました。しかし本焼きでまたまた問題が出てきました。粘土は本焼きの時に軟化します。その時に中央が下がってしまうと格好がよくありません。かといって支えると、今度は収縮した時、逆に中央が盛り上がってしまいます。どうしたら良いか、散々悩みましたが、使う釉薬が流れやすい性質なので、仮に真ん中が下がってもそこにたまってある程度、フラットになるのではないかと、考えました。なんにしても一度焼いてみないとわかりませんから、試しに幾つか焼いてみました。その結果、予想どおり、中央は下がりましたが、釉薬が流れてそれほど見た感じではおかしくなりませんでした。最後はまとめて本焼きです。しかし、釉薬の掛け方は大丈夫だろうか、ピンホールは出ないだろうか、釉薬が万遍なく流れてくれるだろうか。色のムラは大丈夫だろうか、等々心配が尽きませんでした。今朝窯出しを終えて、まあ、100パーセントではありませんでしたが、ほぼ無事に焼き上げることができました。
今日は一日最後の仕上げ作業です。砥石や紙やすり、グラインダーで整えて最後に食器用の撥水剤を塗って仕上げます。汚れが染み込むのを防いでカビなども生えにくくなります。業務用の食器にこれを使うことで、俄然メンテナンスが違ってきます。明日は荷造りです。行き先はシンガポールですから、しっかりと壊れないように梱包する必要があります。焼き物屋の仕事も楽ではありません。