2023年7月13日木曜日

クラフト

 若いころの話です。ある人から紹介されて瀬戸の工房で一日だけ働いたことがあります。日本を代表するクラフト作家の工房でした。一日働いて、かつ丼一杯ご馳走になって終わりでした。仕事ぶりには問題はなかったと思うのですが鹿児島出身という事が断られた理由でした。鹿児島出身者は血の気が多くて和を乱すという事でクラフト作家への道が途絶えた瞬間でした。アーツアンドクラフツという運動を引っ張ったのはウイリアムモリスという人で、クラフト運動にひかれて工房入りをめざしたのでした。時代を経て最近、アカンサスモリスという植物の苗を手に入れて庭に植えてみました。その植物はあのモリスがクラフトのデザインに好んで用いたとの事です。とげがあってごっつい姿が魅力的な植物です。庭に三株ほど植えたのですが、今朝見にいったところ一株は腐って融けていました。後の二株も瀕死。おそらく駄目でしょう。そんな時、昔の事が頭をよぎりました。どうやら、クラフトとはよくよく縁がないのでしょう。アカンサスモリスを植えた後、毎日大雨が続きました。植物にとってはあまりにも過酷な環境だったようです。人との関わり、植物との相性、こればかりはどうしようもないのでしょうか。