昨日、高校時代をちょっと振り返ってみましたが、あの頃はほぼ頭の中には美術、特に絵の事でいっぱいでした。まず最初はレンブラントとフェルメール。それから印象派のモネやボナールが好きになりました。研究所へ通い始めてセザンヌ、友人に影響されて70年代を代表する抽象表現主義、ラウシェンバーグの影響を受けるようになりました。そして迷路に迷い込み、より個的な表現の ムンクに夢中になりました。その頃はもう大学から足が遠のき、もっぱら別の表現を求めてカメラを持って街を歩き回ったり、京橋にありましたフィルムセンターに通って古い時代の映画をむさぼり見たりしていました。そのうちに偶然屋久島に来ることになって陶芸という世界に足を踏み入れました。絵を描いたり何かを表現したりする時いつも求めていたものが根源的な素材との関わりでした。そんな志向にぴったりとはまったのが陶芸という仕事だったと思います。土を掘ったり、窯を築いたり薪を伐りに山に入ったりと汗を流して物を造り上げるという作業に夢中になりました。そして気がつくと五十年以上にわたり土と格闘する暮らしが続いています。その間にも絵を描くことは断続的に続いていて、あくまでも 楽しみとしてですが、モディリアーニ、ロスコー、ミロ、モンドリアン、ポロックとその時々で移り変わりながら、今取り組んでいる陶芸の表現に取り込むことが出来ないものかと日々を過ごしております。最近屋久島で出会った師匠が亡くなったと知り、絵を描く喜びを教えてくれた恩師も他界しました。これからどれほど制作を続けられるかわかりませんが、体が動かなくなるまであがき続けてゆきたいと思っております。