明治は遠くなりにけり。しかし、昭和も遠くなってしまいました。戦前の暮らしは知りませんが、団塊世代ですから。子供の頃の人情が、懐かしくなります。そんなわけで、昔読んだ滝田ゆうの漫画を手に入れて読んでいます。一回り上の方ですから、知らなかった下町の人情ドラマです。まず、ペンの走りがすごい。線描きの勢いがあって、ちょっとゴッホの絵の様です。それにアングル。高いところから俯瞰しているような絵は、頭の中で思い出を再構成している様な不思議な空間に導いてくれます。顔が独特、目、鼻、口が独特の表情で、誰も真似のできない新鮮な空間が浮かんできます。寺島町奇譚という漫画には、彼にしか描くことのできない、思い出の中の世界が再現されている様です。