まさか全て取れるとは思いませんでした。結構複雑な形ですから、どこかに少しでも空気が入っていたら即破裂してしまいます。今回七、八個焼きましたからいくつかは壊れる覚悟でした。それが何ということでしょう。パーフェクトでした。そこで本焼きの準備。まずは素焼きした生地に掛ける化粧土。それもいくつかの種類を掛け分けようという事。素焼きしたところに化粧を掛けるのがなかなか難しいのです。一度ざぶりと水につけて吸水する前に次の化粧土を掛ける。タイミングを見ながらまた次の、そしてもう一つ別の種類と繰り返します。どうしても複雑な配色にしないと深みが出ません。古い仏像はいい感じに表面の色が剥げて時代を感じさせてくれます。その奥深さをどうしたら出すことが出来るか。この仕事も果てしなく遠い道のりです。生涯かけて満足のゆくものにたどり着くことが出来るか。進み続けるしかありません。