昨日、鹿児島で藤田嗣二展を見てきました。まず感じたのは空いていたという事。人が少ない、ガラガラ。おかげでゆっくり見ることが出来ました。小品が多く展示作品もあまり多くありません。が、小さい作品は作者の生の感性がより明確に反映していて興味をそそられました。それに晩年の作品。戦後、フランスに帰化した後の、隠遁生活の様な気楽な暮らしから生まれた作品、例えば子供たちを描いた仕事シリーズの様な、私が最近気になっている、デッサンから離れた子供たちを頭の中で自由に動かせた生き生きした表現が目を惹きました。それとネコ。彼の絵に登場するネコちゃんが威厳がありつつ人に寄り添う。そんな雰囲気に惹かれました。若い頃から浮名を流して何人もの女性との、共同制作だったりモデルさんとの交情だったりに、あの時代に異国で生きた画家の孤独と情熱が伝わってきました。そんな中、最後に娶ったのが日本人の女性であったことにもなるほどという気持ちになりました。エコールドパリと呼ばれた印象派以後の自由な時代、モディリアニやピカソ、スーチン、といった作家との交友にも、そして鹿児島出身の海老原喜之助、東郷青児、などの若い頃の作品にも目を惹かれました。久しぶりに、刺激を受けることになりました。時代は違えど表現の場も変わっても、物を表すことの面白さに大いに刺激を受けて帰ってきました。